歯がボロボロで悩む50代へ|原因と治療法を徹底解説
50代になると、歯の健康問題に直面する人が多くなります。特に、歯がボロボロになってしまうと、見た目の変化や痛み、食事制限など、日常生活に大きな影響を及ぼします。しかし、歯がボロボロになる原因を理解し、適切な治療法を選択することで、失われた歯の機能を取り戻し、健康的な口腔内環境を維持することができるのです。
本記事では、50代で歯がボロボロになる主な原因である虫歯、歯周病、歯根破折について詳しく解説します。また、インプラント、入れ歯、ブリッジなどの治療法の特徴やメリット・デメリットを比較し、自分に合った方法を選ぶためのポイントをお伝えします。
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50代で歯がボロボロになる原因
50代で歯がボロボロになる主な原因は3つあります。
・虫歯
・歯周病
・破折
1つずつ説明していきます。
虫歯
50代になると、歯の健康に様々な問題が生じやすくなります。その中でも、歯をボロボロにする大きな原因の一つが「虫歯」です。虫歯は、ミュータンス菌などの細菌が歯の表面で酸を生成し、歯のエナメル質や象牙質を溶かしていく疾患です。放置すると、歯に穴が開き、最終的には神経まで達してしまうこともあります。
50代の虫歯には、いくつかの特徴があります。まず、歯茎が下がることで露出した歯根部分が虫歯になりやすい「根面う蝕」が挙げられます。また、過去の治療で詰めたり被せたりした部分の周囲から発生する「二次う蝕」も注意が必要です。
虫歯を予防するには、丁寧な歯磨きを欠かさず、定期的に歯科医院でのクリーニングやフッ素塗布を受けることが大切です。特にフッ素は、歯の再石灰化を促進し、酸に対する抵抗力を高める効果があります。
しかし、長年虫歯を放置してしまうと、歯髄が死んでしまい、歯そのものが溶けてボロボロになってしまうこともあります。さらに、虫歯によって口腔内の環境が悪化すると、歯周病も引き起こしやすくなり、強い口臭の原因にもなります。歯周病が進行すれば、歯を支える骨が溶けて歯が抜け落ちてしまう危険性もあるのです。
歯周病
50代で歯がボロボロになるもう一つの大きな原因が「歯周病」です。歯周病は、歯と歯茎の間の隙間(歯周ポケット)に細菌が侵入することで発症します。初期段階では歯茎の炎症(歯肉炎)を引き起こし、進行すると歯を支える骨(歯槽骨)が溶けて歯がグラグラする歯周炎へと移行します。
歯周病の主な原因は、不十分な歯磨きによって歯と歯茎の境目に蓄積した歯垢(プラーク)に含まれる歯周病菌などの細菌です。プラークは唾液の働きで歯石となり、歯と歯茎の境目や歯根の表面に固着します。歯石は歯磨きでは除去できないため、歯科医院での専門的なクリーニングが必要となります。
50代になると、歯周ポケットの深さが4mm以上ある人が半数以上を占め、6mm以上の深いポケットを持つ人も1割程度に達します。40代と比べても、歯周病がさらに重症化しやすい年代と言えます。実際、日本人が歯を失う原因の第1位は歯周病(37%)で、55歳以上の歯周病罹患率は55-60%にも上ります。
歯周病は、20代から発症する人もいますが、年齢を重ねるにつれて発症率が上昇します。40代以上では、ほとんどの人が歯周病に罹患していると言われています。歯周病菌が徐々に増殖することで、歯槽骨が溶けてしまうのです。
破折
50代で歯がボロボロになる原因の一つに「歯根破折」があります。歯根破折とは、歯の根の部分である「歯根」が、主に縦方向に割れたり、ひびが入ったりすることを指します。歯根が破折すると、そこから細菌が侵入し、腫れや膿の形成など様々な症状が現れます。従来、歯根破折を起こした歯は抜歯するのが常識とされてきました。
50代以上の方は、歯根破折が起きやすい傾向にあります。加齢に伴い象牙質が硬化し、もろくなることが破折のリスクを高めるという報告があります。また、若い頃にむし歯治療で神経を抜いた歯がある場合、歯根破折の危険性が増します。神経を失った歯は徐々に弱くなり、5年、10年、あるいは数十年かけて脆弱化が進行し、50代以降になって歯根破折により歯を失うケースが少なくありません。
50代で歯は何本くらい失う?
日本人の歯の本数は、親知らずを除くと28本です。45歳頃までは平均で27.5本と、ほとんど歯を失うことはありませんが、その後徐々に歯を失っていきます。
50代になると、平均で約2.5本の歯を失うと言われています。つまり、50代の間に2〜3本の歯が抜けることになります。そして、55歳の時点では平均残存歯数が23.6本となり、ここから歯を失うスピードが加速していきます。
厚生労働省の2016年歯科疾患実態調査によると、年齢別の平均残存歯数は以下のようになっています。
40代:28本
50代:26本
60代:23本
70代:19本
80代:13本
これらのデータから、60代から70代にかけて歯を多く失う傾向が見られます。また、この年代では虫歯よりも歯周病が歯を失う主な原因となっています。
50代で歯がボロボロになることで起こる問題
50代で歯がボロボロになると、様々な問題が生じます。歯の健康は単に口腔内の問題にとどまらず、全身の健康や生活の質にも大きな影響を及ぼすのです。
ここでは、歯がボロボロになることで起こる主な問題について詳しく見ていきましょう。
見た目の変化と自信の喪失
歯がボロボロになると、笑顔に自信が持てなくなります。歯の見た目の変化は、他者との対人関係にも影響を及ぼす可能性があります。歯並びが乱れたり、欠損したりすることで、自分の外見に対する自信を失い、社交的な活動を避けるようになるかもしれません。
歯の痛みとQOLの低下
ボロボロの歯は、しばしば激しい痛みを伴います。虫歯や歯周病による持続的な痛みは、日常生活の質(QOL)を大きく低下させます。痛みのために十分な睡眠がとれなかったり、仕事や趣味に集中できなかったりと、様々な場面で支障をきたすでしょう。
食事の制限による栄養不足
歯の状態が悪化すると、硬いものや繊維質の食品を避けるようになります。噛むことが困難になると、食事の選択肢が限られ、偏った食生活になりがちです。その結果、必要な栄養素が不足し、身体の健康にも悪影響を及ぼす可能性があります。
全身の健康への影響
歯の健康は、全身の健康と密接に関連しています。歯周病は、糖尿病や心血管疾患、認知症などの全身疾患のリスクを高めることが知られています。歯がボロボロになることで、口腔内の細菌が増殖し、それらが血流に入り込むことで、全身への悪影響が懸念されます。
以上のように、50代で歯がボロボロになることは、単なる歯の問題にとどまらず、見た目、痛み、食生活、全身の健康など、様々な側面に影響を及ぼします。歯の健康を維持することは、生活の質を高め、健康的な人生を送るために欠かせません。定期的な歯科検診と適切な口腔ケアを心がけ、歯の健康を守りましょう。
50代で歯がボロボロの場合の治療方法
50代で歯がボロボロの場合の治療方法は主に3つあります。
・インプラント
・入れ歯
・ブリッジ
インプラント
50代で歯がボロボロになってしまった場合、インプラント治療が有効な選択肢の一つとなります。インプラントは、歯を失った顎の骨に人工歯根(インプラント体)を埋め込み、その上にセラミックなどで作られた人工歯を取り付ける歯科治療法です。正式には口腔インプラントや歯科インプラントと呼ばれますが、一般的には単にインプラントという名称で知られています。
インプラントの大きな特徴は、従来の治療法であるブリッジや入れ歯とは異なり、歯だけでなく歯根も回復できることです。入れ歯のように取り外す必要がなく、痛みもありません。さらに、人体との親和性が高い素材を使用するため、天然の歯と違和感のない色調の上部構造を装着することで、自然な見た目を実現できます。
インプラント治療は、虫歯が進行して抜歯が避けられない場合、外傷によって歯が欠損した場合、長年使用していた入れ歯が合わなくなった場合、奥歯や複数の歯が欠損しブリッジ治療が難しい場合などに特に有効です。
厚生労働省の2016年「歯科疾患実態調査」によると、日本の50代におけるインプラント装着者の割合は約2.1%でした。年代別の内訳を見ると、40代で約1.75%、50代で約2.1%、60代で約3.45%、70代で3.55%、80代で2.7%となっています。
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入れ歯
50代で歯がボロボロになった場合、入れ歯(義歯)による治療も選択肢の一つです。入れ歯は、失われた歯や歯茎、粘膜などを補うために人工的に作られた取り外し可能な装置です。歯を支える床(しょう)を持ち、金属製の留め金を隣接する歯に掛けることで人工歯を固定します。
入れ歯には、部分入れ歯と総入れ歯の2種類があります。部分入れ歯は残存する歯がある場合に使用され、総入れ歯は全ての歯を失った場合に用いられます。また、入れ歯は保険適用のものと自費で作製するものに分けられます。
保険適用の入れ歯は一般的に医療用プラスチックで作られ、治療費を抑えられますが、使用できる材料や製作方法に制限があります。一方、自費で作製する入れ歯は高額ですが、優れた機能性と審美性を兼ね備えています。
50代における入れ歯の装着率は全体的に低く、約7.2~12.2%程度です。
部分入れ歯の割合
・50~54歳で6.3%
・55~59歳で10.6%
総入れ歯の割合
・50~54歳で0.9%
・55~59歳で1.6%。
入れ歯の主な役割は、失われた歯の機能を回復させ、残存する歯とのバランスを維持することです。さらに、歯の欠損によって生じた隙間を保つ働きもあります。入れ歯を装着しないと、残った歯が移動を始め、歯並びや咬合が乱れていきます。その結果、虫歯や歯周病のリスクが高まり、更なる歯の喪失につながる可能性があります
ブリッジ
50代で歯がボロボロになった場合、ブリッジによる治療も一般的な選択肢の一つです。ブリッジとは、歯が欠損した部分の両隣にある歯を土台とし、その間に人工の歯を架け渡す治療法のことです。欠損部分に橋のように人工歯を設置することから、この名称がつけられています。
50代半ば以降では、ブリッジを使用している人の割合は50%近くに上ると言われています。50代における歯の欠損の治療方法の内訳を見ると、ブリッジが75%、部分入れ歯が17%、総入れ歯が3.5%、インプラントが4.5%となっており、ブリッジ治療が圧倒的な割合を占めています。
ブリッジの主な利点は、取り外しが不要なため違和感が少なく、治療がシンプルなことです。また、インプラントとほぼ同等の機能性を持ち、自由診療を選択することで自然な見た目を実現できます。さらに、インプラントと比較して治療期間が短く、保険適用の材料を選ぶことで費用を抑えられるのも魅力です。
しかし、ブリッジにはいくつかの欠点もあります。支台として使用する歯を削る必要があり、力学的な負担がかかります。また、人工歯が連結しているため、フロスを通すことができず、隙間に食べかすが詰まりやすくなります。その結果、支台歯の虫歯や歯周病のリスクが高まる可能性があります。
ブリッジの平均的な寿命は5年から15年ですが、適切なケアを行うことで寿命を延ばすことができます。ただし、50代では入れ歯よりもブリッジを選択する人が多いものの、両側の歯が健康でなければならないことや、健康な歯を削る必要があるなどのデメリットも考慮する必要があります。
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まとめ
50代で歯がボロボロになる主な原因は、虫歯、歯周病、歯根破折です。これらの問題は、見た目の変化や痛み、食事制限など、日常生活に大きな影響を与えます。しかし、適切な治療法を選択することで、失われた歯の機能を回復し、健康的な口腔内環境を維持することができます。
治療法には、インプラント、入れ歯、ブリッジなどがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。自分の口腔内の状態や生活スタイル、予算などを考慮し、歯科医師と相談しながら最適な方法を選ぶことが重要です。また、定期的な歯科検診と適切な口腔ケアを行うことで、歯の健康問題を予防することができます。
50代で歯がボロボロになっても、諦める必要はありません。原因を理解し、適切な治療法を選択することで、自信を持って歯の健康を取り戻すことができるのです。歯の健康は全身の健康につながります。今日から、自分の歯を大切にするための一歩を踏み出しましょう。
監修者 山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
資格
・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医
・日本口腔インプラント学会専門医
・IDIA(国際歯科インプラント協会/旧 ADIA(アメリカ歯科インプラント協会))専門医/指導医
・DGZI(ドイツ口腔インプラント学会)専門医/指導医
・ISOI(国際口腔インプラント学会)専門医/指導医
・ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医
・日本臨床歯周病学会歯周病認定医
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