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高齢者で歯がボロボロ|原因と治療方法を歯科医師が解説

虫歯、歯周病
高齢者で歯がボロボロ|原因と治療方法を歯科医師が解説

歯がボロボロな状態に悩む高齢者の方は多いのではないでしょうか。


歯の健康は、食事や会話の質に直結し、生活の質(QOL)に大きな影響を与えます。


しかし、歯がボロボロになる原因や、適切な治療方法がわからず、困っている方も少なくありません。


本記事では、高齢者に多い歯の問題の原因や、歯科医院での治療法、日常での歯のケア方法など、歯の健康を維持するための重要なポイントを、歯科医師の視点から詳しく解説します。


また、歯の治療費が高額で悩んでいる方のために、経済的負担を軽減する方法についてもアドバイスします。


歯がボロボロな状態を放置することは、全身の健康や生活の質の低下につながります。


しかし、適切な治療と予防を行うことで、歯の健康を取り戻し、自信を持って笑顔で過ごすことができます。


ぜひ、本記事を参考に、歯の健康維持に役立てていただければ幸いです。

 

歯がボロボロな高齢者に多い歯の問題

歯がボロボロな高齢者に多い歯の問題は5つあります。

 

・歯周病

・虫歯

・歯の欠損

・口腔乾燥症

・噛み合わせの悪化


1つずつ解説していきます。

 

歯周病

歯周病が高齢者に多い理由は、加齢に伴う免疫力の低下や、長年の歯のお手入れの積み重ねによる影響が大きいからです。


若い頃から歯磨きが不十分で、定期的な歯科検診も受けていないと、歯周ポケットが深くなり、歯槽骨の吸収が進行します。


歯がグラグラと動くようになり、食事や会話にも支障をきたすようになってしまいます。


歯周病は、放置すると歯を失う原因となるだけでなく、全身の健康にも悪影響を及ぼします。

 

虫歯

高齢者に虫歯が多い理由は、加齢に伴う唾液分泌量の減少や、不十分な歯磨きによる歯垢の蓄積、糖分の多い食品の摂取などが原因として挙げられます。


虫歯は、早期発見・早期治療が重要です。


虫歯を放置すると、歯の損傷が進行し、最悪の場合、歯を失う原因にもなります。

 

歯の欠損

歯の欠損が起こる理由は、加齢に伴う歯の損耗や、長年のむし歯・歯周病の蓄積が原因です。


高齢者は若い頃からのお口のケアが不十分であったり、全身の健康状態が悪化していたりすることで、歯の欠損が進行しやすくなります。


例えば、80歳を過ぎた方の平均残存歯数は約10本程度と言われています。


残りの歯も、むし歯や歯周病に侵されていることが多く、欠損のリスクが高くなっています。


歯の欠損が進むと、食事が満足に取れなくなったり、話すことが困難になったりと、日常生活に大きな支障が出てしまいます。

 

口腔乾燥症

加齢に伴い唾液腺の機能が低下することで、口腔乾燥症になりやすくなります。


また、薬の副作用により口腔乾燥症を発症することもあり、高齢者は服用している薬が多いため、リスクが高くなっています。


口腔乾燥症になると、口内の自浄作用が低下し、細菌が繁殖しやすい環境になります。


そのため、むし歯や歯周病が進行しやすくなり、歯がボロボロになってしまう可能性があります。


さらに、口臭の原因にもなるため、人前で話すことに自信が持てなくなる方もいるでしょう。

 

噛み合わせの悪化

噛み合わせが悪化すると、歯に過度の負担がかかり、歯の損傷や欠損につながります。


噛み合わせが悪化する理由は、加齢に伴う歯の摩耗や、歯の欠損によって歯並びが乱れることが原因です。


また、不適合な義歯を長期間使用することでも、噛み合わせが悪化してしまいます。


例えば、歯の欠損が放置されると、残った歯に負担が集中し、歯が傾いたり、移動したりします。


すると、上手く噛めなくなり、さらに歯の損傷が進んでしまうのです。


また、噛み合わせが悪化すると、顎関節症や頭痛、肩こりなどの全身症状が現れることもあります。

 

歯がボロボロな高齢者のQOLに与える影響


歯がボロボロな高齢者のQOLに与える影響は以下3つが考えられます。


・食事の楽しみの減少

・会話や笑顔に対する自信の喪失

・全身の健康への影響

 

食事の楽しみの減少

歯がボロボロな高齢者は、食事の楽しみが大幅に減少してしまいます。


歯の状態が悪化すると、十分な咀嚼ができなくなり、美味しく食事を楽しむことが難しくなるのです。


食事の楽しみが減少する理由は、歯の損傷や欠損によって、食べられる食品の種類が限られてしまうことが原因です。


また、義歯の不適合などで噛み合わせが悪化すると、食事中の痛みや不快感から、食べる意欲が低下してしまいます。


例えば、硬い食材や繊維質の多い食品は、歯がボロボロな高齢者にとって食べるのが困難です。


そのため、柔らかく加工された食品ばかりを口にするようになり、食事の楽しみは大きく損なわれます。


また、入れ歯が合わないと、食事中に義歯が外れる恐れがあるため、人前で食事をするのが恥ずかしくなってしまう方もいるでしょう。

 

 

会話や笑顔に対する自信の喪失

歯がボロボロな高齢者は、会話や笑顔に対する自信を失ってしまいがちです。


歯の見た目が悪化すると、人前で話したり、笑ったりすることに極端に臆病になる方が多いのです。


会話や笑顔に自信が持てなくなる理由は、歯の損傷や欠損によって、口元の印象が悪くなることが原因です。


また、発音が不明瞭になったり、口臭が気になったりすることで、コミュニケーションに消極的になってしまいます。


例えば、前歯が欠損している高齢者は、口を開けて話すことを避けるようになります。


歯の見た目を気にするあまり、笑顔を見せなくなったり、人との会話を控えめにしたりするのです。

 

全身の健康への影響

歯の健康は、単に口腔内の問題にとどまらず、体全体の健康状態と密接に関連しているのです。


全身の健康に影響が出る理由は、歯の損傷や欠損によって、十分な栄養摂取ができなくなることが原因です。


また、口腔内の細菌が増殖し、それが原因で全身の感染症リスクが高まることも問題となります。


例えば、歯がボロボロで咀嚼機能が低下すると、食べられる食品の種類が限られ、偏食になりやすくなります。

その結果、必要な栄養素が不足し、体力や免疫力の低下につながるのです。


また、歯周病菌が血管内に入り込むと、動脈硬化や心疾患、脳梗塞などの危険性が高くなることも明らかになっています。

 

 

歯がボロボロな高齢者におすすめな歯のお手入れ方法

歯がボロボロな高齢者におすすめな歯のお手入れ方法は3つあります。


・適切な歯磨きの方法

・入れ歯のケア

・定期的な歯科検診の重要性

 

適切な歯磨きの方法

歯がボロボロな高齢者には、適切な歯磨きの方法が特に重要です。


歯磨きは、歯垢や食べかすを取り除き、歯や歯肉を健康に保つために欠かせないセルフケアだからです。


適切な歯磨きが必要な理由は、高齢者の歯は、加齢による歯質の脆弱化や、歯肉の退縮によって、むし歯や歯周病になりやすいためです。


また、手先の不自由さから、歯磨きがおろそかになることも問題です。


具体的な歯磨きの方法としては、毛先の柔らかい歯ブラシを使用し、歯と歯肉の境目を意識しながら、歯ブラシを45度の角度で小刻みに振動させるようにして磨きます。


歯の裏側も丁寧に磨くことが大切です。


また、歯間ブラシやデンタルフロスを使って、歯と歯の間の清掃も行いましょう。

 

入れ歯のケア

入れ歯は、毎日正しくお手入れすることで、快適に使用できるだけでなく、口腔内の衛生状態も保つことができるからです。


入れ歯のケアが必要な理由は、入れ歯の表面に歯垢や汚れが付着しやすく、放置すると細菌が繁殖し、口臭や口内炎の原因になるためです。


また、入れ歯が不衛生だと、残存歯にも悪影響を及ぼします。


具体的な入れ歯のケア方法としては、毎食後に入れ歯を取り外し、歯ブラシと入れ歯専用の洗浄剤を使って、丁寧に洗浄します。


就寝時は、入れ歯を外して洗浄剤に浸け置きし、乾燥を防ぎます。また、定期的に歯科医院で入れ歯の調整やクリーニングを受けることも大切です。

 

定期的な歯科検診の重要性

定期的な歯科検診を受けることは非常に重要です。


自己管理だけでは気づきにくい口腔内の問題を、早期に発見し、適切な治療につなげることができるからです。


定期的な歯科検診が必要な理由は、高齢者の歯は、加齢による変化に加え、全身の健康状態の影響を受けやすいためです。


また、自覚症状がない場合でも、むし歯や歯周病が進行していることがあります。


具体的には、3〜6ヶ月に1度の歯科検診を受けることが理想的です。


歯科医による口腔内の詳しいチェックに加え、歯科衛生士によるクリーニングを受けることで、歯垢や歯石を除去し、歯や歯肉の健康を保つことができます。


また、セルフケアの方法について指導を受けられるのも大きなメリットです。

 

歯がボロボロな高齢者向けの歯科医院での治療法

歯がボロボロな高齢者向けの歯科医院での治療法は4つあります。


・歯周病治療

・虫歯治療

・入れ歯の作製

・インプラント治療

 

歯周病治療

歯周病は、歯を支える歯肉や歯槽骨に炎症を起こす疾患で、進行すると歯を失う原因になります。


歯周病治療が必要な理由は、高齢者は免疫力の低下により歯周病になりやすく、また、長年の歯周病の蓄積によって重症化しているケースが多いためです。


歯周病は、全身の健康にも悪影響を及ぼすことが知られています。


具体的な歯周病治療としては、歯科医による歯石除去やルートプレーニングを行い、歯肉の炎症を取り除くことから始まります。


重度の場合は、歯周外科治療が必要になることもあります。また、歯周病治療と並行して、正しいセルフケアの方法を習得することが大切です。

 

虫歯治療

虫歯は、歯を溶かして穴をあける疾患で、放置すると歯の損失につながります。


虫歯治療が必要な理由は、高齢者は加齢による歯質の脆弱化や、唾液量の減少によって虫歯になりやすいためです。


また、手先の不自由さから歯磨きが不十分になり、虫歯が進行しやすい傾向にあります。


具体的な虫歯治療としては、虫歯の程度に応じて、歯科医が虫歯を除去し、詰め物や被せ物で歯を修復します。


深い虫歯の場合は、神経の治療(根管治療)が必要になることもあります。また、定期的な歯科検診を受けることで、虫歯を早期発見・早期治療することが大切です。

 

入れ歯の作製

入れ歯は、失われた歯の機能を回復し、食事や会話の質を大幅に改善します。


入れ歯の作製が必要な理由は、歯の欠損によって、咀嚼機能が低下し、十分な栄養摂取が難しくなるためです。


また、歯がないことで、顔の筋肉が衰え、顔貌の変化や発音の問題が生じます。


具体的な入れ歯の作製プロセスとしては、まず歯科医が口腔内の状態を詳しく診査し、欠損部の印象を採取します。


その後、歯科技工士が印象をもとに入れ歯を作製し、歯科医が口腔内で調整を行います。


部分入れ歯や総入れ歯など、欠損の状態に合わせて最適なタイプの入れ歯を選択します。

 

インプラント治療

インプラントは、人工の歯根を顎の骨に埋め込み、その上に人工の歯を装着する治療法で、自分の歯のような自然な感覚で食事や会話ができるようになります。


インプラント治療が推奨される理由は、入れ歯と比べて、より強固に固定され、違和感が少ないためです。


また、インプラントは周囲の歯を削る必要がなく、隣接する健康な歯を守ることができます。


具体的なインプラント治療の流れとしては、まず歯科医が口腔内の状態や顎の骨の量を精密に診断します。


十分な骨量がある場合、インプラントを埋入する手術を行います。


手術後は骨とインプラントが結合するのを待ち、最終的に人工の歯を装着します。


治療期間は数ヶ月かかることが一般的です。

 

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歯の健康を維持するための生活習慣

歯の健康を維持するための心がけていただきたい生活習慣を紹介します。


・バランスの取れた食事

・禁煙・節酒

・規則正しい生活リズム

 

バランスの取れた食事

歯の健康を維持するためには、バランスの取れた食事が欠かせません。


栄養素の偏りや不足は、歯や歯肉の健康に悪影響を及ぼすからです。


バランスの取れた食事が重要な理由は、歯の主成分であるカルシウムやリンを十分に摂取することで、歯の強度を保つことができるためです。


また、ビタミンCや葉酸などの栄養素は、歯肉の健康維持に役立ちます。


具体的には、乳製品や小魚などのカルシウム源、緑黄色野菜やフルーツなどのビタミンC源を積極的に取り入れましょう。


また、歯ごたえのある食品を適度に食べることで、咀嚼機能を維持することも大切です。


軟らかい食べ物ばかりを好む高齢者は、特に注意が必要です。

 

禁煙・節酒

歯の健康を維持するためには、禁煙と節酒が強く推奨されます。


タバコとアルコールは、歯や歯肉に直接的な悪影響を及ぼす危険因子だからです。


禁煙・節酒が重要な理由は、タバコに含まれるニコチンや有害物質が、歯周病の発症や進行を促進するためです。


また、過度のアルコール摂取は、口腔内の乾燥を引き起こし、むし歯や歯周病のリスクを高めます。


具体的には、喫煙者は非喫煙者と比べて、歯周病になるリスクが4〜5倍高いと報告されています。


また、多量のアルコール摂取は、唾液の分泌を抑制し、口腔内の自浄作用を低下させます。


特に、喫煙と過度の飲酒を併せ持つ高齢者は、歯の健康への悪影響が相乗的に増大します。

 

規則正しい生活リズム

生活リズムの乱れは、口腔内の環境を悪化させ、歯の健康に悪影響を及ぼすからです。


規則正しい生活リズムが重要な理由は、唾液の分泌量が生活リズムに大きく影響を受けるためです。


唾液は口腔内の自浄作用を担っており、むし歯や歯周病を予防する重要な役割を果たします。


具体的には、不規則な食事時間や睡眠不足は、唾液の分泌量を減少させ、口腔内の乾燥を引き起こします。


また、ストレスによるホルモンバランスの乱れは、歯周病の悪化につながることが知られています。


特に、高齢者は生活リズムが乱れやすく、注意が必要です。

 

高齢者で歯がボロボロだけどお金がない場合

歯の治療費が高額で、経済的な理由から治療を諦めてしまう高齢者は少なくありません。


しかし、歯の健康を維持することは、全身の健康と生活の質に直結する重要な問題です。


歯の治療を受けることを諦めるべきではありません。


歯の治療費が高額になる理由は、材料費や技工費、高度な技術を要する処置が含まれるためです。


特に、歯周病の治療やインプラント治療は、長期間にわたる通院と高度な治療が必要となり、費用がかさみます。


しかし、歯の治療を先延ばしにすることで、症状が悪化し、さらに高額な治療が必要になることもあります。


例えば、むし歯を放置することで、神経まで達する深い虫歯になり、根管治療や抜歯が必要になるケースがあります。早期発見・早期治療が、結果的に医療費の節約につながります。

 

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まとめ

本記事では、高齢者に多い歯の問題について、歯科医師の視点から詳しく解説しました。


歯がボロボロになる原因には、加齢に伴う歯の磨耗や歯周病、口腔乾燥症などがあり、食事や会話の質に大きな影響を与えます。


歯の健康を維持するためには、適切な歯磨きや入れ歯のケア、定期的な歯科検診が重要です。


歯科医院での治療法には、歯周病治療、虫歯治療、入れ歯の作製、インプラント治療などがあり、患者さんの状態に合わせて適切な方法を選択することが大切です。


また、バランスの取れた食事、禁煙・節酒、規則正しい生活リズムなど、日常の生活習慣を改善することも、歯の健康維持に役立ちます。


歯の治療費が高額で悩んでいる方は、歯科医院での相談や、自治体の助成制度の利用など、経済的負担を軽減する方法を探ることをおすすめします。

 

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監修者 山田 嘉宏(やまだ よしひろ)

高齢者で歯がボロボロ|原因と治療方法を歯科医師が解説

医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長

1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院

資格

・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医
・日本口腔インプラント学会専門医
・IDIA(国際歯科インプラント協会/旧 ADIA(アメリカ歯科インプラント協会))専門医/指導医
・DGZI(ドイツ口腔インプラント学会)専門医/指導医
・ISOI(国際口腔インプラント学会)専門医/指導医
・ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医
・日本臨床歯周病学会歯周病認定医

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詳細:インプラント治療

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