インプラントのメンテナンスにかかる費用相場を紹介
インプラント治療を受ける方々の中には、「費用はどれくらいかかるのか?」や「メンテナンスはどれくらいの頻度で必要なのか?」といった疑問を持っている方が多いことでしょう。
実は、インプラントの長寿命や成功の鍵は、定期的なメンテナンスにかかっています。
この記事では、インプラントのメンテナンスにかかる費用の相場や、その重要性について詳しく解説しています。適切なケアで、あなたの大切なインプラントを長持ちさせる方法を学びましょう。
インプラントのメンテナンスにかかる費用相場
インプラントのメンテナンスの費用相場は、1回あたり3,000円から10,000円が一般的な範囲となっています。具体的な価格は、歯科医院によって異なることがあります。
多くの歯科医院での相場は、3,000円〜5,000円とされていますが、中には1回あたり10,000円ほどの歯科医院も存在します。
インプラントは、長期的に安定した機能を保つために定期的なメンテナンスが必要です。メンテナンスの内容としては、インプラントの清掃や状態のチェック、必要に応じての調整などが行われます。
これらのメンテナンス作業には、専門的な技術や知識が求められるため、費用が発生します。また、クリニックによっては最新の設備を導入している場合や、都心部と地方での物価の違いなど、さまざまな要因によって費用が変動することがあります。
したがって、インプラントのメンテナンスにかかる費用は一概には言えず、具体的な金額はクリニックや地域によって異なると言えます。
インプラントのメンテナンスは医療費控除の対象になる
インプラントの治療やメンテナンスにかかる費用は、特定の条件のもとで医療費控除の対象と認められます。この医療費控除は、納税者やその親族が1年間で支払った医療費が、総所得の5%か100,000円のいずれか低い金額を超えた場合に所得から差し引かれる制度です。
結果、所得税や住民税が軽減され、還付金が戻ってくることがあります。
一般的な歯科治療の材料や病気・けがなどで失われた歯の治療費、またデンタルローンやクレジットカードの支払い、さらには通院の交通費も対象となることがあります。ただし、審美的目的の治療は控除の対象外です。
控除を受けるためには、確定申告が必要です。その際、領収書が要求されるので、紛失しないよう保管してください。インプラント治療やメンテナンスを受ける際は、適用条件や手続きについて歯科医師に相談しましょう。
インプラントのメンテナンスが必要な理由
インプラントのメンテナンスが必要な理由は3つあります。
・インプラント周囲炎の予防
・トラブル時に保証を受けられる可能性が高くなる
・健康な歯を失うリスクを軽減
1つずつ解説していきます。
インプラント周囲炎の予防
インプラントは高度な技術を駆使して作られた人工の歯で、虫歯になる心配はありません。しかし、その周囲には炎症を起こすリスクが存在し、「インプラント周囲炎」として知られる状態に注意が必要です。
この炎症は、口の中に溜まる歯垢や歯石の蓄積により、歯周病菌が増殖し引き起こされます。特に、インプラントの境目付近は汚れが溜まりやすく、細菌が繁殖するのが容易です。
この状態が放置されると、炎症は進行し、アバットメントやインプラントの結合部分の骨結合が弱くなり、結果としてインプラントそのものの喪失の危険が高まります。
さらに、インプラント周囲炎は、通常の歯周病よりも進行が早く、早期発見が難しいとされています。そのため、定期的なメンテナンスと清掃、そして専門的なケアが不可欠であり、これによってインプラントの寿命を長く保ち、口腔内の健康を維持することが可能となります。
トラブル時に保証を受けられる可能性が高くなる
インプラント治療は、多くのクリニックにおいて保証制度が導入されている先進的な治療方法として知られています。この保証制度は、患者が安心して治療を受けることを目的としており、インプラントに何らかのトラブルが発生した場合の再治療の費用を無償または減額して提供するものです。
ただし、この保証を受けるための条件として、定期的なメンテナンスを受けることが多くのクリニックで求められています。
メンテナンスは、インプラントの適切な状態を維持し、早期の異常を発見するための重要な手段です。メンテナンスの際には、インプラントやその周囲の健康状態を確認するための様々な検査が行われ、トラブルの早期発見や適切な対応が可能となります。
さらに、定期的なメンテナンスを受けることで、歯科医師とのコミュニケーションの機会も増え、治療後のケア方法などの詳しい情報を得ることができます。
したがって、メンテナンスを定期的に受けることは、インプラントの寿命を延ばし、長期的に安心して使用するための必須条件となっています。加えて、トラブルが生じた際に保証を受けやすくするための重要なステップとも言えます。
健康な歯を失うリスクを軽減
インプラントの周りは、自然な歯と同じく歯垢や歯石が蓄積しやすい場所です。このような蓄積が長く放置されると、歯周病を引き起こす可能性が高まります。
歯周病はインプラントのみならず、その隣接する健康な歯にも悪影響を及ぼし、さらに進行すると健康な歯が失われるリスクも増大します。メンテナンスの際には、専門的な手段を使って歯垢や歯石の除去を行い、インプラントの状態や周囲の歯の健康をチェックします。
結果、早期の歯周病の発見や適切な処置が可能となり、その進行を予防することができます。
日本では、歯の喪失の主要な原因として、歯周病が最も高く、次いで虫歯が挙げられています。定期的なメンテナンスにより、これらの問題の早期発見や予防が可能となり、健康な歯を守るためのリスクを大きく軽減することができるのです。
さらに、歯周病の進行はインプラントの寿命を短縮するだけでなく、インプラント歯周病のリスクも高めます。従って、メンテナンスを定期的に受けることは、インプラントの長寿命を保つだけでなく、全体的な口内の健康を維持する上で極めて重要です。
インプラントのメンテナンスを行う頻度
一般的には、インプラント治療後の最初の1年間は3ヶ月ごと、それ以降は4〜6ヶ月ごとのメンテナンスが適切であるとされています。しかし、患者さまの口腔内の状態やインプラントの種類、歯科医院の方針によって、この頻度は変動することがあります。
また、メンテナンスの頻度が増えると、それに伴いメンテナンス費用も増加しますが、適切な頻度でのメンテナンスは、異常の早期発見や病状の進行防止のために非常に重要です。
安心して通院できるよう、歯科医師のアドバイスに従い、インプラントの健康を維持するための定期的なメンテナンスを受けることをおすすめします。
インプラントのメンテナンスの流れ
インプラントのメンテナンスの流れは以下の手順でおこないます。
・口腔内の確認
・噛み合わせの確認
・レントゲン検査
・PMTC
口腔内の確認
インプラントのメンテナンスでは、口腔内の状態を詳しく調査することが始まりとなります。インプラントの周囲の健康状態や存在する問題点を早期に把握することができます。
というのも、インプラントは自然な歯とは異なる材質で構成されており、その周囲には歯肉や他の歯が隣接しています。このため、インプラント周辺の状態や、歯垢や歯石の蓄積、歯肉の炎症の有無、隣の歯との接触具合などを定期的にチェックすることで、さまざまな問題の早期発見が可能となります。
特に、新しくインプラント治療を受けた直後や初期の段階は、問題が生じやすい時期であり、口腔内の変化を注意深く監視することが必要です。このようなチェックを欠かしてしまうと、小さな問題も見逃してしまい、それが後に大きなトラブルに発展するリスクが増加します。
このため、歯科医師としては、患者の口腔の健康を守るために、この口腔内のチェックの重要性を常に強調しています。具体的には、インプラントの安定性、歯茎の炎症、歯周ポケットの深さ、噛み合わせの調整、清潔状態、そして人工歯とインプラント体の連結部分のチェックなどが行われます。
噛み合わせの確認
インプラントの持続的な使用感とその寿命の維持には、噛み合わせの定期的な検証が欠かせません。自然な歯とは異なる構造や素材を持つインプラントは、噛む際にも負担を感じます。
もし噛み合わせが正確でない場合、インプラントや周辺組織に過大な負荷がかかることとなり、その結果インプラントの寿命が短縮する恐れがあります。さらに、正しくない噛み合わせは痛みや違和感を招き、食事の障害や発音に問題をもたらす可能性も考えられます。
レントゲン検査
レントゲン検査を定期的に行うことで、インプラントの下部や周辺の骨の状態を正確に把握し、早期の問題点を発見することが可能となります。
インプラントは表面だけではなく、顎の骨に埋め込まれている部分もあり、目視では確認することができません。レントゲン検査によって、この部分の変化やインプラントと骨との結合の様子を詳しく観察することができるのです。
特に、インプラント周囲の骨吸収や骨の質の変化、インプラントのねじれや移動などの異常が早期に発見できれば、適切な対処を速やかに行うことで、患者様の快適な使用感を長く維持することが可能となります。このような理由から、歯科医師としてはレントゲン検査の実施を強く推奨しています。
PMTC
PMTCを定期的に行うことで、インプラント周囲の歯石やプラークを効果的に除去し、インプラントの健康を長く維持することが可能となります。
理由として、インプラントが口腔内に存在すると、自然と歯石やプラークが付着する傾向があります。これらの付着物は、インプラント周囲炎の原因となるバクテリアの繁殖を促進するため、定期的な除去が必要です。
PMTCは、付着物を専門的な機器や技術を使用して効果的に除去する方法です。特に、インプラントの生体適合性を維持し、持続的な使用感を確保するためには、口腔内の清潔状態を保つことが重要です。
インプラントのメンテナンスをしないとどうなる?
インプラントのメンテナンスを怠ると、その寿命が短くなり、最悪の場合、インプラントの失敗につながる可能性があります。
定期的なメンテナンスを行わないことは、投資したインプラントの価値を損なうだけでなく、口腔の健康全体に悪影響を及ぼすリスクを高めることとなります。
インプラントは生体内に埋め込まれたものであり、その周囲の組織との親和性や接触面の衛生状態がインプラントの成功に直結します。
メンテナンスを怠ると、歯石やプラークの蓄積が進行し、感染の原因となり、インプラント周囲炎やインプラント失敗のリスクが高まります。
また、長期的に見ると、インプラントの骨結合の弱化や骨吸収が進行し、インプラントの固定が不安定になることも考えられます。これらの症状は、初期の段階では痛みや違和感を感じることが少ないため、定期的な検診やメンテナンスがないと気づきにくいのです。
まとめ
費用の相場に関しては、1回あたり3,000円〜10,000円が目安となっており、歯科医院や内容によって変動することがあります。
インプラント治療後のメンテナンスは、治療の成功を長持ちさせるために極めて重要です。メンテナンスにはレントゲン検査やPMTCなどの手順が含まれ、これらの手順はインプラントの状態を適切に保つためのものです。
定期的なメンテナンスを怠ると、インプラント周辺の炎症や骨の吸収などの問題が発生するリスクが増加します。適切なメンテナンスを受けることで、インプラントは長期間にわたって機能を維持することができます。
監修者 山田 嘉宏(やまだ よしひろ)
医療法人社団隆嘉会 ソレイユデンタルクリニック 理事長
1990年 昭和大学歯学部 卒業
1990~1992年 東京医科歯科大学補綴科 勤務
1992~1993年 茨城県友部歯科診療所 勤務
1993~1999年 品川区共立歯科 分院長 勤務
1999~2003年 よしひろ歯科クリニック 開院
2003年 医療法人社団隆嘉会 よしひろ歯科クリニック 開院
2014年 医療法人社団隆嘉会ソレイユデンタルクリニック 開院
資格
・厚生労働省認定歯科医師臨床研修指導医
・日本口腔インプラント学会専門医
・IDIA(国際歯科インプラント協会/旧 ADIA(アメリカ歯科インプラント協会))専門医/指導医
・DGZI(ドイツ口腔インプラント学会)専門医/指導医
・ISOI(国際口腔インプラント学会)専門医/指導医
・ICOI(国際口腔インプラント学会)認定医
・日本臨床歯周病学会歯周病認定医
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